希望の火を守る聴き方
メンタルケア協会編著の『人の話を「聴く」技術』
心で「聴く」こと
「理解」よりも「共感」が大切
そんなあたりまえのようで、なかなかできてはいない。
心構えから、どのように対話をしていくかという実際的なアドバイスまで、気持ちよく読める本です。
「聴く」知性が現代人に求められている、と言っていますが、たしかに「知識人」「教養のある人」というものを看板にしている人たちの中には、「聴く」ことは苦手そうな人もいますね。
私はあまり好きではないので見ませんが、テレビのトーク番組は、たいていそんな感じに思えます。
てんでに自分の思うこと感じることを主張して、相手を言い負かすことばかりが追い求められている時代、声の大きい人、強い人が自説を通していく。
精神対話士が目指す対話は、「無償の愛」のような対話だと書かれています。
心の痛みを取り去る方法は、子どもも大人も変わりません。相手が感じている苦痛を「つらいね」「痛いね」などとわがことのように共有し、問題とは異なる視点から相手の良さを支持し、笑顔が戻るのを待ちます。
私たちは、どうも問題そのものに目がいってしまい、自分の力が及ばないことであっても、何とか問題を解決しようと、ああしたら?こうしたら?これがいけないんじゃない?とアドバイスをしてしまう。
「対話する相手の心の中にあるはずの希望の火がどれくらいの勢いで燃えているかを想像し、そっと手で囲うような接し方をしてあげる」
「その火を敬意を持って大切に守ってあげて、そしてプラスの言葉をかけてあげる。それだけで元気を取り戻せる」
書名は「技術」ですが、本来、技術以前の問題なのでしょう。
自分自身がどうあるか、人との関係はそこからはじまるように思います。
文庫版も出ているようです。
- ソフトとハード
- 台風と気分の関係