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A Ray of Hope

自己啓発と社会変革

PHP Voice+ 今月の注目記事で、精神科医、斉藤環氏のオピニオンがおもしろかったので、こっそり小さな一票。
タイトルは、”勝間和代ブーム”のナゼ?
私はとてもこの方のような分析も表現もできませんが、たいへん共感するところがありました。

一カ所、引用させていただきます。
自己啓発と社会変革について。

  しかし私の濁った目には、彼女の主張とその目標とのあいだに、微妙な乖離があるように見えてしまう。・・・(中略)・・そこに漂う奇妙な居心地の悪さの正体は、「自分を変える」ことと「社会を変える」ことの方法論が、決定的にすれ違っていることに起因するのではないか。

だから「カツマー」たちのほとんどは、自己啓発のほうに夢中で、社会的な問題意識ははっきりいって乏しい。・・・(中略)・・・それは当然なのだ。私は経験的に確信しているが、「インセンティブ」としての「自己啓発」と「社会変革」とは、ふつうはまず両立しない。最終的には一致を見ることはありうるとしても、それはあくまで結果論である。

 人を動機づける難しさは、「ひきこもり」の臨床で十分に経験済みである。少なくとも彼らにだけは、けっして「自己啓発」を促してはならない。彼らの内面にはできるだけ触れずに、環境を変え、家族を変え、少しずつ行動を変えていくことで、ふと気が付いたら内面も変わっていた、という方向づけが必要になる。

 つまり私がいいたいのは、人びとを「自己啓発」に誘導しすぎると、その人たちの何割かは、「耐えるべき試練」と「変えるべき問題」の区別がつきにくくなりませんか、という懸念なのである。

彼女の主張とその目標とのあいだの微妙な乖離、そこに漂う奇妙な居心地の悪さ・・・そうそう、私もそう感じていました。なぜなのか、わかりませんでしたが、
「自分を変えること」と「社会を変えること」の方法論が、決定的にすれ違っている・・・なるほど!

私も社会を変える仕事の末端で働いています。
何も大きなことではなくて、「フィリピンのスラムに住むAちゃんが学校に行けなくて困っているんだけど、助けてくれる人いないかな?」「うーん、私は今Cちゃんの支援をしているから、誰か探してみますね」、そんな感じの、お互いの顔が見えるお隣同士の助け合い活動です。
斉藤さんが考えておられる「ひきこもり」の人たちの問題とはまた違いますが、このスラムの子どもたちが貧困から抜け出すために、自己啓発を説くということはそもそも無理があり、まずは教育を受けられる環境を作る、親を初めとする周囲のおとなたちの意識も変えていく必要があります。

そして、この支援活動に携わるスタッフはどうか、というと、ある意味で自己啓発は有効だと思います。
ただ、それは自分がこの世で成功する、著名になる、お金を儲ける、ということと一致しないという部分はあります。
自分が損をしても、出世できなくても、裕福にならなくても、それでも社会を変えるという目的のために働けるかどうかが最初に問われます。
道を開き、そこを乗り越えて、ようやく、社会を変える仕事が、いずれこの世界で当たり前のことになっていくというのが現状ではないでしょうか。
そのための自己啓発です。
効率化や情報収集、情報の利用、人的ネットワーク作りなどの方法論も役に立ちます。
ただし、そういったノウハウ以上に必要なのは、深い人間理解に基づく世界観、価値観の確立ではないか、とも思います。
自分が自分が、ではなくて、「自分を愛するように、隣人を愛する」という生き方、スタンス。
そのような土台が自分の中にあれば、がんばれるときはがんばるし、疲れてしまったときも、それですべてが終わり、とはなりません。

バランスとゆとりをもった働き方をしたいものです。


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