豪華な食卓
人身事故で電車が遅れた、と言って、娘が遅く帰ってきました。
食事を温めて出してやると、「今日はどうしてこんなに豪華なの?」と尋ねます。
豪華?
ごはんと麻婆豆腐、がんもどきの含め煮、チンゲンサイの卵とじスープ、それだけなのに。
ふと思い出しました。
娘が3歳の頃、夕食のテーブルに着いて、「今日は少ないね」とひとこと。
あの頃は今以上に貧しくて、一汁一菜が普通でした。
一切れ100円の魚の切り身を買って、野菜の味噌汁、実家から分けてもらったお米、だしを取った後の昆布や煮干しの佃煮、それがすべて。
たまの贅沢は、お昼にパン屋さんで2つか3つパンを買うこと。
すると食パンの耳を一袋もらえるので、それでおやつを作りました。
おいしかったなあ。
今も決してごちそうがあるわけではありませんが、寒い冬の日に、駅のホームで、来ない電車を待って、ようやく家に帰り、ほっとして、温かいものを食べる、そのことが何よりのごちそうだったのだと思います。
厳しい社会状況の中、こんな当たり前の幸せに与ることのできない方々が大勢おられることに心が痛みます。
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