フィリピンの子どもの生活
「日本の子ども」と言ったときに思い浮かぶのはほぼ平均的な子どもの姿、生活ですが、日本に住む日本人として、自分で体験したり見聞きしたりする限り、親の収入や資産による生活の格差は「かなりある」気がします。
NPO法人HFIでは、現在、フィリピンのスラムに住む子どもたちの就学支援をしているわけですが、日本とフィリピンの違い、フィリピン国内でも富裕層と貧困層の違いは、さらに大きいのではないかと思います。
フィリピンで実際に子どもたちを集め、支援活動をしているHFIの理事が一時帰国し、話を聞きました。
セブアノ語が話される地域だが、フィリピンの公用語は英語なので、小学校の授業は英語で行われる。普通は入学前に英語が読み書きできるレベルまでなっておく必要があるが、貧しい家庭では、その余裕がない。親の意識の問題もある。小学校に入っても、日本とは違って、勉強ができなければ「落第」する。先に進めなければ、将来は開けない。薬物やギャンブルに依存するようなこともあり、貧困は世代間で引き継がれていく。
フィリピンの場合は、お金やモノだけ与えれば解決するという問題ではないのだと思います。
こんな話もありました。
あるイベントで、スタッフがお昼を食べているところに、ひとりの男の子が来て、じっと見つめている。その子だけに食事を与えるわけにはいかないから、分けてあげたい気持ちを抑えながら知らぬ顔をしていたが、いつまでも見つめて動かない。とうとう自分の気持ちに負けて、食べ物を与えて、その食べ方に驚いた。がつがつというのはこういうものか、と。
日常的にお腹をすかせている、飢えているというのを私は経験したことはありません。
比較してどうこう言うのは意味のないことでしょうが、自分の体験とか価値観とか枠組で他の世界を見て評価することも違う気がします。
私たちは、この世界を知っているようなつもりで生きていますが、ほんとうは知らないこと、理解し得ないことばかりなのでしょう。
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